【書評】新世代の教養書にしてエンターテイメント作品 サピエンス全史 レビュー

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この本に書かれた虚構を用いて虚構から頭を抜け出そう。 サピエンス全史 上巻 感想

ベストセラーとなっている話題作『サピエンス全史』を読み終えました。

オススメ度:★★★★★

目から落ちた鱗を数えるだけでも大変なくらいの圧倒的な内容。

この本を読むと、ホモ・サピエンスが認知革命を経て他の人類種から一歩抜け出し、農業革命で穀物の奴隷となり、客観的な種の繁栄と個体の幸せの乖離を生み出し、帝国主義と科学革命によって社会的に世界統一されて現代に続く様が頭の中に描かれます。

今後、色々な事を考え、決める際に、本書で描かれた内容が文脈になると思います。

重要なのはホモ・サピエンス以外からの視点

この「サピエンス全史」で特に秀逸と感じた部分は、ホモ・サピエンスの歴史を他者の視点を交えながら描いている事。

認知革命では、ホモ・エレクトスやホモ・ネアンデルターレンシスなどの人類種が、我々とどのように違い、お互いにどのように見ていたかを想像するヒントが与えられました。

農業革命では、農業革命によって我々ホモ・サピエンスと一緒に爆発的に数を増やした家畜動物や穀物を見る事で、我々の姿を省みる事になりました。

そして帝国主義と科学革命では、絶滅に追いやられた多数の動物種や先住民たちの視点。

最後に、まだ訪れていない未来に誕生するであろう、我々には感情や欲望を予想する事すら出来ないであろう「超ホモ・サピエンス」と言う視点。

それは遺伝子工学により生まれるのか、それとも人類とコンピュータとの接続によるのか、もしくは全く別の無機的な生命体なのか、それらのハイブリッドか。

本書に書かれている通り、それはきっと今の我々が予想もしていない所から現れるのでしょう。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの未来を描いた映画を観てもわかるように、ほんの数10年前の人類が今のインターネット社会を想像もしていなかったのと同様に。

新世代の教養書

落合陽一さんの著書、『超AI時代の生存戦略 ~シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』などにも書かれているように、これからの社会では仕事や生活に対する考え方や関わり方が、嫌でも変わってきます。

そんな中で何も指標がないのは大変。変化に振り回されるだけになってしまいます。

そこで、この『サピエンス全史』に書かれている歴史を文脈としてこれからの自分がするべき事を考えたり、世界で起きる出来事の意味づけをしていく事が重要になるのではないでしょうか。

なにより、マーク・ザッカーバーグを始めとした著名人も感銘を受けているこの本は、新たな時代の教養書として、読んでおかないと他の人の話が理解出来なくなるほど重要なものになるかも知れません。

エンターテイメント性も抜群

色々とおすすめするポイントを書いてきましたが、何よりも「面白い」のが重要。

「目からウロコが落ちる」と一言で言いますが、これまでと違う視点を手に入れたり、頭の片隅に疑問に思っていた別々の事が繋がって一気に解決したり、という様な「視野が広がる」「視界が明瞭になる」という感覚をたくさん味わわせてくれる本書は読んでいて気持ちいいし、間違いなく面白い本です。

あれこれ難しい事は考えず、まずは「人類の全歴史を描いた、スペクタクル・エンターテイメント作品」として手にとってみて頂ければ、と思います。

サピエンス全史

iBooks版

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福 – ユヴァル・ノア・ハラリ & 柴田裕之