農業革命は悪魔の取引? サピエンス全史 第6章 読書ノート

前回の記事:罪深くも悲しい農耕民 サピエンス全史 読書ノート 第5章

今回も世界的ベストセラー『サピエンス全史』の読書ノートを書いていく。

今回は農業革命が「悪魔の取引」たる理由と、それによって虚構である「想像上の秩序」の進化する様子を追っていく。

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農業革命がもたらした概念、家と未来。

著者は農業革命を「悪魔との取引」と表現しているが、農業革命によって、ホモ・サピエンスも、栽培される植物も、家畜となった動物も、いずれもが爆発的に世界中に数を増やすことになった一方で明らかに不幸になっている点と、それに気付いても狩猟採集民には決して戻る事が出来ない点を考えると実に上手い表現と言わざるを得ない。

そしてこの取引によって新たに生まれた概念が「家」と「未来」である。

農作業に使う道具や、食料の備蓄など、狩猟採集民の頃と比べて圧倒的に所有物が増え、土地にも縛られる事になった結果、永住する場所に家や倉庫を構える事になった。

もちろん快適な住処には違いないのだろうが、それを守るための仕事や心配事が増えた。

そして、放浪の旅を続ける狩猟採集民と違い、同じ事を毎年続ける農耕民は時間をより意識するようになり、未来をある程度コントロール出来るようになったが、その分、未来に対する不安も抱くようになった。

ここでもやはり新たな力を手に入れたからといって豊かな生活が出来るようになったかと言えばそうではなく、また違った形でストレスを抱く事になったのである。

想像上の秩序

こうして後戻りの出来ない農業革命により爆発的に人口が増えたサピエンスの集団に必要になるのは、それぞれの規模に適した「虚構」である。

本書ではハンムラビ法典とアメリカの独立宣言の2つを例に挙げている。

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ハンムラビ法典は今見れば差別的表現の塊のように思え、いかにも原始的なようだが、平等を謳ったアメリカの独立宣言も同じく虚構に過ぎない。

ただ、それによって統率出来る人数には大きな差がある。

また、農業革命と同様に想像上の秩序も不可逆的であり、ホモ・サピエンスはもう2度と手放す事は出来なくなってしまった。

共同主観的であるために誰かがその存在を否定したところで全く影響がないからだ。

今の信じている想像上の秩序を手放す時、それは新たな想像上の秩序を受け入れる時だけである。

そして、その変化には必ずと言って良いほど戦争や革命が伴う。

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